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「Corum Online - EXCAVATION」

第二話

3年前 イダー



 砂漠の真ん中にあるオアシスを拠点として発達した街。貿易の中継地点として使われることもあるため、多くの人が集まり築かれていった。また、近くには太古の昔よりある遺跡が沢山あるためにハンターと呼ばれる人が多く集まっていた。
 当時沢山あったハンターのギルド、その中で一番大きいハンターギルド『トレジャーハンター協会』だった。協会に属していない者はハンターに非ずと言われるほど巨大化したギルドであった。このギルドは政治の内部者ともつながっているとも言われる。時々政府直々の命令で軍と協会の者とか共に動くこともある。フェンはその当時イダーの軍隊『インペリアル第四機動隊』に属しているプリーストであった。重に後方支援が基本とされるプリーストの中でフェンは最前線に立つという珍しいタイプだった。

「フェン・ジャイト、ティル・スボスの両名は至急、軍司令部まで出頭するように」
軍の宿舎の中でアナウンスがかかる。
「フェン・ジャイト、ただいま出頭いたしました。」
フェンは窓の外を見ている長官に向かって敬礼をした。隣にはすでに一人の男が敬礼をして立っていた。
「フェン・ジャイト中尉、ティル・スボス少尉。お前達に指令を言い渡す。」
長官は直々に二人に命令を下した。長官の秘書らしき人物が二人に指令書を手渡す。


指令
『汝、フェン・ジャイト中尉に指令を言い渡す。

これより30時間後にイダー郊外にある部隊と合流し作戦を遂行すべし。

なお、作戦に必要な資材の調達もこの内容に含む』


 指令書には簡潔に3行の文章で書かれていた。フェンは軽く目を通すとその場をあとにした。

「なぁ、フェンどんな指令だった?」
 ティル・スボスがフェンに声をかけてきた。ティル・スボス、彼はフェンと同期で互いに親友と呼べる中だ。よく、作戦の後に近くのバーで酒をこっそりと飲んでいた。当時作戦後とはいえ、軍に属するものが酒を飲むのはご法度とされていた。しかし、そんなことを守る人などいないわけで、よく軍人がいくバーがあった。
「ティルか」
フェンは後ろを向くとティルと対峙した。
「俺は、まぁ物流支援みたいなものだ。5日もあれば戻れるさ」
フェンは愛想よく答えた。
「それより、ティルお前はどうなんだ?初めての直々の勅令じゃないか?」
 少尉にはまず直々に勅令がくだることはめずらしいことであった。フェンも直々に勅令をもらったのは中尉になってからだ。それだけ少尉と中尉との差はこの軍では差があるのだ。ひとつの違いは制服にもある少尉より下は藍色の服で中尉より上は紅の服になる。
「まぁ、そうなんだけどなぁ。近く昇進が近いのかな?」
ティルは笑いながら指令書をフェンに見せた。
「おい、俺が見てもいいのか?」
「別に秘密事項じゃないさ。これは誰が見ても作戦に影響はないさ。」
「そうか」
フェンはそういうと指令書をみた。


指令
 汝、ティル・スボスに勅令を言い渡す。

4日後に街に駐留している『トレジャーハンター協会』の一人と

合流しイダー郊外にある、ベアローに向かうべし。

内容は護衛と調査である。


「ふーん。ベアローかぁ。まぁ、発展途上中の通路だろ。危険は少ないといえば少ないか・・・とにかく注意は怠るなよ」
フェンはそういって指令書をティルに渡す。
「十分注意するさ」
そういってティルは演習場に向かった。
「おーい、ティル。もしこっちが早く片付いたらそっちの援護に向かうから」
フェンはティルに向かって言った。ティルは背中を向けたまま、フェンに手を振った。
次の日フェンはイダー郊外の仲間の軍に合流した。3日ほど補給や軽い治療など任務を行い無事に終了した。フェンは一度司令部に戻り報告した後すぐにティルの後を追った。手元には一枚の紙切れがあった。


 伝令
 我、敵襲に会い交戦中。至急応援を要請する。


「間に合ってくれ」
 フェンは急いで走った。右肩には愛用の剣をかけながら。途中、小雨が降り始めた。フェンの行く手をさえぎるかのような悪夢の雨だ。
 フェンがその場に着いたときには軍隊は壊滅していた。あたり一面雨で血が流れ出し、その場の惨劇を忘れさせるかのようだった。フェンは持っていた剣を落としていた。
「だ・・・れ・・・か・・・た・・・す・・・け・・・」
軍の一人がかろうじて息をしていた。
「大丈夫か」
フェンは直ぐその隊員に近づく。その男はティルだった
「あ・・いつが・・ハァハァ。う・・ら・・ぎった。」
「しゃべるな。今助けてやる」

フェンはティルの肩を抱き上げ、治療を行おうとした。
「あの・・・レンジャー・・ハァハァ。俺達を・・・ここまで・・・つれ・・てきて・・・仲間・・・を・・・呼びやがった。」
「いい、もうしゃべるな。たのむから」
ティルの目はもう曇り始めていた。
「俺・・・達が・・ハアハァ。今回の任務で・・・持ち帰る・・・はずの・・・アイテム・・・ハァハァ。それを・・・奪った。」
そういうとティルは一枚の紙切れをフェンにさしだした。フェンは紙切れを受け取るとティルは軽く微笑んだ。そして息を引き取った。
「ティルゥ〜〜」
フェンは上を向いて叫んだ。顔にはうっすらと涙が流れていた。強く振り出した雨が、冷たくフェンの体を冷やしていく。まるでその惨劇がなかったかのようにするために。

朝日が昇り始めたころ、フェンは目が覚めた。体中嫌な汗をかいていた。
「また、あのころの夢かぁ・・・」
 フェンの目には薄っすらと涙が落ちていた。過去の自分。親友の死。憎しみの対象。さまざまな思いが混ざり合い複雑な気分でいた。焚き火は火が消え、ただ灰色の煙だけが昇っていた。
「あの、女のせいだ。また『トレジャーハンター協会』の連中に会うなんて」
 フェンは親友の死後、軍を抜け、なるべく『トレジャーハンター協会』とはかかわらないようにしてきた。しかし、フェンの探しているクリスタルは、奴等にとってもレアアイテムという存在だ。必ずいつかは出会うことになる。
「今回は避けられるのだろうか?」
フェンはそう言うと空を見上げた。朝日が昇り始めている空は清々しさをかもし出していた。

 フェンは近くの川で水浴びをして汗を流すと服を着て町に戻った。前から一人の男が進んでくる。明らかに街の人とは違った雰囲気だ。ローブのような服を着て顔を見ることはできない。フェンも昔は軍に属していたから良く知っている。あの戦場をくぐった者だけが得られる独特の気という物が。あきらかに前からくる男はそれを持っていた。ローブの中に無理やり押し込めているという感じだ。フェンはしばらくその男に目をやっていた。しかし、それも長くは続かなかった。あの女が来たからだ。
「あぁ、フェンさんではないですか?」
そう、あのレンジャーの女だ。レンジャーは俺の手を取って、
「昨日はありがとうございます。おかけで女一人で野宿しないですみました。」
と言って女は深くお辞儀をした。
フェンは薄ら返事で答えた。あの男が気になっていたからだ。しかし、もうそこにはあの男は居なかった。
『あの男は何者だ?あの雰囲気は・・・』
フェンはまだ理解することがこのときにはできなかった。いずれ、あの男と再び出会うことになるとは。

 フェンはレンジャーを無視して街の市場を歩く。いつものように、これから旅に必要な道具などを調達するためだ。いつもと違うことが一つあった。それはレンジャーが後ろについてきていることだ。
「いいかげんに俺についてくるな!」
フェンはレンジャーの女に向かってキツイ一言を言った。
「あなたが私の仕事を請けてくれるまでついていきますよ。」
「俺は『トレジャーハンター協会』の連中とは関わりたくないんだ。悪いが、他あたってくれ」
フェンはそういうとまた歩きだした。
「報酬は『トレジャーハンター協会』の秘密内部情報。これでもだめ?」
レンジャーの女はまじめな顔をして言った。
「情報だと?」
フェンは、女の顔をみた。
「悪いが、俺はあんたらを信用していないんだ。」
「ふーん。ならこれでどう?」
そういうと女はフェンに耳打ちした。
「『トレジャー・ハンター協会』は崩れはじめているわ。その証拠に裏と表に分かれてきているの」
フェンは目を丸くして驚いた。あの巨大ギルドが崩壊し始めているというのだ。確かにそれに近い情報はフェンや街の人々の耳に入ってきている。しかし、それはあくまで噂の域である。
「ここでは人が多いから・・・」
レンジャーの女は裏路地を指差す。フェンはその誘いに乗ることにした。
「まず、一つ聞く。俺の目的を知っていてその情報を渡すということか?」
フェンはレンジャーに向かって話始めた。
「もちろん。あなたのことは調べさせてもらったわ。三年前、あなたはイダーという街にある軍隊に所属。『インペリアル第四機動隊の第三小隊長』をつとめていた。その当時、親友が『トレジャーハンター協会』の陰謀に合い死去。これが、私達を嫌っている理由ね」
「それで?」
「分かっているのはここまでよ。ただ貴方は時々私達の影を追っていることだけは確かね。だから今回はこの情報取引でどうかと思ってね」
 確かにフェンは関わりたくは無いと言っておきながら、時々『トレジャーハンター協会』の足取りを追っていた。それは、親友の死が許せないことと関係があった。あの雨の日、ティルが渡した一切れの紙。そこにあったのは今回の作戦の正式な内容とその構成組員。また、護衛にあたる『トレジャーハンター協会』の名前がかかれていた。作戦の目的はクリスタルの保護。構成組員は全部で10名。彼らはすべてあの場所で殺されていた。ただ一人を除いて。それは護衛を依頼した協会のメンバーだった。フェンはそいつの後をおっていたのだ。フェンがこのときまでクリスタルを探していたのは、いつか親友を殺した協会の連中と出会うと思っていたからだ。つまり、ティルの復讐ということだ。しかし、これは軍を抜けてからの使命としてきたことの一つに過ぎなかった。まだこの時は・・・

「なぜ俺にそんな情報を流そうとする?裏と表といっても自分のギルドだろう?何を企んでいる?」
「企んでいるなんて人聞き悪いわね。私としては裏のせいで迷惑しているのよ。私は表側だけど裏のせいで色々と内外からとばっちりがあるのよ。」
「ふん。つまり何か。表は裏とは一切関係ありません。裏が邪魔なので協力しろってところか。」
「身もふたもないけどそんなところかしらね。あなただって本当に憎んでいるのは裏のほうよ。あの時殺された現場みたでしょ。あの場で殺害され居た中には『協会』の人間もいたわ。そのレンジャーの中には私の友達がいたのよ。
「!。ふん。いいだろう。イマイチ信用できないがとりあえず話を聞いてやる。」

確かにそうだった。軍の人間は5名。協会の人間も5名の計10名での作戦だった。そのことはティルがくれた遺書にも確かに書いてあった。俺は死体の検分はしていないが、明らかにあの場には軍服を着た者以外の死体もあったのだ。このときフェンは言われてその事実を思い出したのだ。いままでは、親友の死が頭から離れず、ただ怨みばかりの状況で周りを見る余裕すらなかったからだ。


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